◎ 人は不幸になりたがる癖がある ◎
一 「嫌い」が好きな人
人には、なぜか「不幸」になりたがる癖がある。「そんなはずはない。自分から不幸になりたい人間などいるものか」と反論されるかもしれないが、そうでもないのだ。
その一つの例として、「嫌い」が好きで、「好き」が嫌いという人がいることが挙げられる。
人としばらく付き合ううちに、だんだんその人が「嫌い」になって、盛んに悪口を言い始める。ある国に関する記事を読んでいるうちに腹が立ってきて、その国が「嫌い」になる。同じ職場に要領が悪く仕事の遅い人がいると、イライラしてその人が「嫌い」になる……というようなことである。
嫌いならば単に遠ざければいいのに、わざわざ相手の嫌なところを探し出して、さらに嫌いになろうとする。「嫌い」が好きというのは、そういうことだ。
付き合っていても、その人のよい点だけを見るようにすれば嫌いにならないし、嫌いになりそうなら、自分からその人との距離をとればいい。そうすれば関係があまり深くならないから、嫌いにもならない。嫌いになりそうな人がいれば、「会うのに一時間もかかる」とか「一年に一度くらいしか会わない」というような状態にすれば、嫌いになりようもない。
ある国が嫌いになりそうだったら、その国の人の立場に立って物事を見てみると、意外に納得できることもある。仕事の遅い人がいても、そのぶん仕事の早い自分が評価されると思えばよいのである。
『武田邦彦の科学的人生論』飯塚書店刊より R081104

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